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WORKSHOP『僕らが失ったこども目線』(2012-01-26開催)

ラボラトリーでは家具制作と並行して、ワークショップ活動を行っています。田中英一とラボラトリーのメンバーがファシリテーターを務め、モノづくりを通した刺激ある企画を提案しています。

「ワークショップ」という言葉は工作教室という意味で使われることがありますが、 ラボラトリーでは本来の「ワークショップ」の意味を大切にしています。ワークショップとは、参加者自身が知恵を出し合い作業過程を共有する中で、正解や結果にしばられずに「自ら気付く」ことです。「自ら気付く」という体験は、子どもだけでなく大人にとっても新鮮な刺激になります。


誰かの目線」で過ごす3時間

記念すべき2013年最初のワークショップは,所沢市の古民家付き農園「corot」で開校された「にしとこ学校」にて開催いたしました。テーマは『僕らが失ったこども目線』です。

多くのオトナは、幼い頃には『相手の立場に立って考えなさい』と教えられていたかと思います。しかし年齢を重ねるごとに、そういった時間はなかなか持てなくなってきているのではないでしょうか。本ワークショップでは、そんな時間をみなさんと一緒に作り上げていきました。その様子を少しだけご報告します。


その立場になりきって「大切にしていること」を考える

ファシリテーター田中・秦は、この3時間だけは「タナカ先生」「ハタ先生」、そして参加者の皆さんは「にしとこ学校の生徒」です。

大人の皆さんは、タナカ先生のもと「センセイ」「オヤ」「穏やかなコドモ」「活発なコドモ」「苦手が多いコドモ」チームに分かれ、子どもの皆さんは「オトナ」になりきってハタ先生から出される課題に取り組んでいきます。

いつもオヤの立場の方には、コドモの立場を。活発な人には穏やかな人を。いつも管理されている立場の方には管理する立場を...と、普段生活している時とは違う立場になりきります。

「大切にしていることって何だろう」「なぜ大切なんだろう」「失ったもの」「持っているもの」......。それぞれの立場になりきって,グループごとに考え、共有し、発見していきました。


それぞれの立場で「保育園」を発想する

大切なもの、失ったもの...を共有したチームそれぞれに「にしとこ保育」から依頼状が届きます。依頼の内容は「保育園」をプロデュースしてくださいというもの。それぞれの立場で自分にとって行きたいと思える保育園を考えて、名前を付け、デザインを考えてほしいという依頼です。

大人の「センセイ」「オヤ」「穏やかなコドモ」「活発なコドモ」「苦手が多いコドモ」チームが考える保育園とは?

子どもたちの「オトナ」が考える保育園とは......?

いろんな立場・目線から考えられる保育園。そこには何の決まりも、しなくてはいけないこともありません。ただ自由に発想し、「通いたい」と思える保育園のビジョンを描き出します。

そして、実際に紙や木や粘土,竹ひごや絵の具など様々な素材でそのビジョンを具体化していきます。名前はどんな名前? 建物はどんな形? 庭には何がある?......そんなことを話し合いながらそれぞれのチームの保育園が出来上がって行きます。


この「体感」を忘れず、日常でも時には違う「目線」を

こうして出来上がった「保育園」を各チームで発表してもらいます。実はこの発表をみて本物の子どもたちに「どこの保育園に入りたいか」を選んでもらおうという趣向だったのです。このことは、そのとき初めて皆さんにお知らせしました。

戸惑いながらも楽しそうに、たくさんの審判員(こどもたち)を前に、プレゼンテーション。何をしてもほめられる保育園。おばあちゃんちみたいな保育園...。どのチームも「こんな保育園だったら楽しいよ!」という思いがあふれ、子どもたちの真剣なまなざしが印象的でした。

そして、子どもたちも「オトナ」として自分たちが入りたい保育園を発表しました。チョウチョが飛んでる保育園がいい、IpadやIphoneが完備されてる保育園がいい...。様々なアイデアを木の板に書いて、並べて保育園を表現しました。

そしていよいよクライマックスです。子どもたちが選んだのはいったいどんな保育園だったんでしょうか......?

「どのチームの保育園が選ばれたかは、実はそれほど重要ではないんです。今日のこの短い間に、皆さんが体感した『違う人の目線』。すっとその違う人の目線に入れた人もいたかもしれないし、なろうとしたけどなかなかなれなかった人もいたと思います。でもその体感したこと、気づいたことを覚えていてほしいんです。普段の生活の中で、ちょっとの時間でもいいので、この感覚を思い出してほしい。そして皆さんのやり方で、相手の立場になったり目線でみてみたりしてほしいと願っています」

とタナカ先生。ここで、タナカ先生とハタ先生による『僕らが失ったこども目線』授業は、皆さんの笑顔と大きな拍手とともに終了しました。


二時限目にはおいしい手作りピザを

そして二時限目は楽しい『家庭科』の時間。corotのミネギシ先生の指導のもと、庭の手作り釜で手作り石釜焼きピザを作っていただきました。自分で種をのばして、ミネギシ先生特製のソースを塗り、とれ立て野菜を中心とした好きな具材をのせて焼きます。延ばしては焼きのばしては焼き....。石釜の前には、焼いてもらおうと子どもと大人の長蛇の列が途切れません。

「いつもは野菜が嫌いだって言うのに、今日は自分からたくさんのせて3枚も食べちゃいましたよ」

と、目を細めてお嬢さんを見つめるお父さん。自分で作ったピザの味は、また格別においしいのです。大人も子どもも関係なく、ともに時間を作り上げた一体感と充実感もおいしいスパイスだったのかもしれません。