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H邸再訪~家族の歴史とともに歩む家具~

■家族みんなで集まれる円卓を
初めてHさんが、私たちのアトリエに足を運んでくださったのはもう2年前のこと。ご自宅を新築するにあたり、家族が集まる大切なリビングに主役になるようなダイニングテーブルを、と相談に来てくださいました。

Hさんご一家は、Hさんと奥さま、お嬢さんお二人の4人家族。ご両親はお嬢さんたちがのびのびと育たれることを第一に、新しいお宅を構想中とのことでした。当初はダイニングテーブルのご用命でしたが、ご相談していくうちに、リビング全体のイメージを統一したいとのことで、チェストとテレビボードも一緒におつくりすることになりました。

ダイニングテーブルは、直径130cmもある大きな円卓に。材は、北海道産の樹齢150年を数える朱里桜を使用しました。この円卓は、家族の成長によって変化していけるように、脚部分は交換可能な構造になっています。
そして、「お母さん専用の家具」としておつくりしたのがチェスト。「お母さんが大切にしているものや、家族にとって大切なもの」を収納したいとのご用命でした。こちらも樹齢150年の山桜を材に使用しています。
テレビボードは何を入れるかを伺い、必要な収納スペースを考えた構造になっています。こちらも天板にはチェストと同じ山桜を使って華やかに仕上げました。


■1年半後の家具たちに会いにHさんのお宅へ
完成し、納品してから1年半。
その後、あの家具たちは、Hさんご家族にちゃんと寄り添って、お役に立てているかな?と気になって、メンテナンスもかねてお邪魔させていただきました。
「少し色が変わってきてるでしょう?」
 と、Hさんが愉しそうにおっしゃいます。ご自身も日曜大工が趣味で、もの作りが大好きなHさんは、無垢材ならではの変化を楽しまれているご様子です。
 お困りのことはないでしょうかとお聞きすると「円卓の脚がちょっとガタガタするかな」とのこと。早速拝見すると、なるほど、脚のボルトが少し緩んでいます。うかがうと「円卓を移動するときに引きずったりすることが多い」とのお話でしたので、おそらく引きずったときに少しずつボルトが緩んでしまったのでしょう。こういったことはよく起こりますが、ボルトを締め直せばほとんどの場合、解決することができます。


■キズや汚れは「成長の証」
リビングには、朱里桜の円卓をどんと置いていただいています。大きな円卓は、お食事のときはもちろん、皆さんの作業台としても活躍しているとのこと。
Hさんがパソコンを使っているお隣で、お嬢さんがお絵描きをしたり。おくさまがパンをこねたりするときには、パン作りの作業台にも早変わりするなど、幸いなことに大いに活躍してくれているようです。
「天板、よくみると汚れがあるでしょう? お絵かきしたとき、絵の具がついちゃったりして。ひっかきキズもたくさんあります。だけど、使っていれば汚れるのは当たり前、キズがつくのも当たり前。自然なことですよね。だから私たちは、それが子どもたちの成長の証だって思ってるんです」
と奥さま。柱に子どもたちの身長を刻むように、そのキズは単なる「きず」ではありません。ご家族の歴史の大切な証でもあるんですね。
 そんなふうに無垢の家具との生活を楽しんでおられるHさんご一家。天真爛漫なご家族に迎えられて、北海道の大地に育まれた桜で作った家具たちは見事に寄り添い始めていました。