2016/3/31

2日間にかけて巨大な樹木を何本も製材してきた。
多くの広葉樹は秋に伐採し、おそくとも梅雨までに板状に製材する。
そこから何年も乾燥させるのだ。
 
樹木には個性がある。
人間がそうであるように。
山の斜面の具合、風の吹く方向、日の当たり具合、あらゆる環境要因で2つとない個性がうまれる。
 
反して人間の好みというやつは枠が狭い。
だから好みに合うように美味しく料理せねばならない。
鋸で切る角度が、ほんの少し違っただけで、
切る順番や切る厚みを、ほんの少し変えただけで、
全く違った表情と使い勝手になる。
 
この製材工程で最終的な作品の仕上がり、佇まいがほぼ決まってくる。
そう、緊張の連続。
鋸をいれた瞬間に淡く翡翠色していた切断面が、酸化し徐々に赤く変化していく。
二度と垣間見ることができない樹齢118年の重みだ。

> 田中英一のコトバ