2012/5/15
旅の後記
親愛なるJacqueとmakiko
Jacqueは旅のなかで私に沢山の哲学を教えてくれた。
君は自身の半分ほどしか人生を歩んでいない私に、何の前触れもなくこう教えてくれた。
「自らの役割を演じ続けることをればよい。辛いかもしれないが45から50歳にもなれば役割りもしっくりと馴染んでくるから」
後に親友への感謝の気持ちとして彼の貴重な作品を譲り受けた。
一眼でドン・キホーテのそれだとわかった。
譲り受けた時にはうまく理解できていなかったが、いま帰りの飛行機で涙が止まらぬほど彼のメッセージが入り込んできた。
俳優として頂点を彩った彼がモチーフとして選択したドン・キホーテ。優雅な生活と共に、一般的に決して体験することがないようなトラブルにもみまわれ、荒波のなかを公私ともに演じきってきた彼。
ドン・キホーテの話しをどこか哀しいと私は彼に伝えたが、哀しいことなんてない。
演じきってやろうじゃないか。
家具作家を、夫を、父親を。
「なじんでくるから心配すんな」という君の言葉を信じよう。
滑稽にうつろうが、馬鹿にされようが裏切られようが構わないではないか。
自らの役を演じきろう。
君がそうしてきたように。