2012/7/2

あなたがこどもたちに伝えたい事はなんですか?

私は制作のかたわらで「伝える」「気がつく」「感じる」という活動(講義・ワークショップ)を行っています。

こどもたちに伝えたい事はなんだろう。
これだけ沢山の情報が蔓延していて、それでも伝えるべき事が伝わっていない現実。

伝えるべき事というのは、現代の人々が求める短絡的な都合の良さではなく
あくまで未来に生きる人々が更に未来を切り開くための叡智。

私の役目は120年生きた樹木を、寿命がつきてしまう直前に伐採することです。
その樹木を削りこんで、カタチにすることで更に120年できればそれ以上の長い年月を生きてもらう事のお手伝い。
何だかいい話にも思えるが、実に業の深い行動でもあります。

気がつくと何世紀にも渡って積み重ねて来た「業」が生み出した産物で溢れかえっている。
鶏は卵と肉を生産するセイブツとして産み出される。
牛もそこからとれる革も同じ。
植物も樹木もバクテリアも万物が素材として扱われていく。
科学・化学を含めたあらゆる学問や研究という道筋の通過点に我々は存在している。
沢山のそれらが産み出した素材に囲まれながら。

リンゴをかじってしまった瞬間から、人のあらゆる行動は業の深いものとなった。
リンゴのマークのついた液晶画面を眺めながら、今日も私は考えをめぐらせるのです。

100年以上も使ってもらえるようにと日々魂を削るが、
25万年も悪夢が続く素材を産み出した現代に絶望しそうになる。

こどもたちに伝えたい事はなんだろう。
私のそれは「希望をもつこと」。
絶望しないこと。
まだまだ経過点にすぎないぞって、左足と右足を交互に前に進めていく事。
急ぐあまり転ばないこと。
転んでもまた立ち上がる事。

あなたがこどもたちに伝えたい事はなんですか?

> 田中英一のコトバ